平成25年度 建築士事務所立入指導実施のお知らせ
県の建築住宅課より下記の周知依頼がありましたのでお知らせします。
平成25年度 建築士事務所立入指導実施要領(和歌山県)
1 目的
建築士事務所の立入指導を積極的に実施することにより、建築士事務所の業務の適正運営を確保し、もって違反建築物の防止及び建築物の質の向上を図ることを目的とする。
2 強化期間
平成26年2月19日から28日までを建築士事務所立入指導強化期間とし、特にこの期間は重点的に立入指導を行うものとする。
3 対象
立入指導の対象は、次の要件に該当する建築士事務所に重点を置いて選定するものとするが、業務に支障をきたさない範囲内で、可能な限り多くの建築士事務所に立ち入るよう努めるものとする。
(平成24度立入件数を参考とする。)
(1) 過去に、その業務に関して何らかの問題があった建築士事務所
<例>・県において処分又は指導をしたことがある建築士事務所(平成23年度及び平成24年度の立入指導期間中に立入指導の対象としたものについては、原則として除外するものとする。)
・建築主事による確認のための審査に際し、問題があった建築士事務所
・(一社)和歌山県建築士事務所協会、(公社)日本建築家協会近畿支部和歌山地域会に対し、建築主等から苦情相談を受けた建築士事務所
(2) 管理建築士が建築士の定期講習を未受講の建築士事務所
(3) 新規登録の建築士事務所
(4) 事務所代表者と管理建築士が異なる建築士事務所
4 動員体制
建築士行政担当者を中心に数名をもって1班を編成するものとし、関係特定行政庁及び関係団体 との密接な連携を図るものとする。
5 点検項目及び点検方法
主要な点検項目及び点検方法は、次のとおりであるが、建築主の保護、工事監理体制の確立等を図る必要があること、過去の立入指導の結果において、帳簿の備付け及び図書の保存(同法第24条の4第1項)、建築主への書類の閲覧(同法第24条の6)及び書面の交付(同法第24条の8)等について違反が多くみられ、また、工事監理体制に関し問題のある建築士事務所も相当数み られたことにかんがみ、特に(4)、(7)、(8)、(13)及び(15)の点検項目について重点的に点検及び指導を行うものとする。
なお、点検に当たっては、昭和46年8月26日付け建設省住指発第558号「建築士事務所 の監督について」の別記「建築士事務所の監督及び建築士事務所の管理についてのチェックポイン ト」(別添1)等に留意するものとする。
(1) 建築士事務所の開設者の状況(建築士法第23条の4関係)
・建築士事務所の開設者が建築士法第23条の4第1項及び第2項の各号に該当していないか。
(2) 建築士事務所の登録事項の変更の届出懈怠(建築士法第23条の5関係)
・建築士法第23条の2第1号又は第3号から第5号までに掲げる登録事項について変更が生じているにもかかわらず届出がなされていないままになっていないか。また、変更の届出があった場合、それが虚偽の届出ではないか。
※これと併せて、開設者は所属建築士に対し住所等の届出を促すよう、指導すること。
(3) 管理建築士の専任状況(建築士法第24条関係)
・管理建築士が建築士事務所の業務上の監督について常に責任をもって行っているか。
(建築士事務所における業務の実施状況については、保存された帳簿及び図書により、管理建築士の専任状況については、出勤簿及び賃金台帳によりチェックするものとし、特に管理建築士が外出中のときは、外出先及び用件を尋ねること。)
・業務の委託に関して、管理建築士が契約時等に技術的観点からの必要な意見を述べているか。)
(4) 業務に関する帳簿の備え付け及び保存の状況(建築士法第24条の4第1項関係)
・建築士法施行規則第21条に規定する事項を記載した帳簿を備え付け、その他業務記録及び契約書が整理されているか。
・業務に従事した建築士及び建築設備士の帳簿への記載について、組織図等により、業務の体制が明確に把握できるような記載がなされているか。
・適正な契約の確保を図るため、書面による契約の締結等により契約内容の明確化がなされているか。
※書面による契約の締結は法令で義務づけられているものではないが、建築士事務所の適正な業務の実施に大いに資するものである。
・建築設備等の専門技術事務所に業務の一部を委託した場合に、委託業務の概要等について帳簿への記載がなされているか。
・業務の受託に関して、契約時等に管理建築士が技術的観点からの意見を述べた場合に、その意見の概要について帳簿への記載がなされているか。
・設計又は工事監理以外のその他の業務を行った場合についても適切に帳簿への記載がなされているか。
(5) 図書の保存状況(建築士法第24条の4第2項関係)
・建築士法施行規則第21条第に規定する設計図書が完全に保存されているか。
(特に、保存期間に留意すること。)
(6) 標識の掲示状況(建築士法第24条の5関係)
・標識が公衆の見やすい場所に掲示されているか。また、建築士法施行規則第22条(第7号書式)に規定する内容及び寸法となっているか。
(7) 書類の閲覧状況(建築士法第24条の6関係)
・建築士法施行規則第22条の2第2項に規定する第7号の2書式による書類を備え置き、設計等を委託しようとする建築主の求めに応じ閲覧させているか。
(8) 書面の交付状況(建築士法第24条の8関係)
・建築士事務所の開設者は、建築主から設計等の委託を受けたとき、建築士法第24条の8及び建築士法施行規則第22条の3に規定する事項を記載した書面を交付しているか。
① 法第24条の8及び規則第22条の3に規定する内容が記載されている限り、設計等に係る契約書や工事請負契約書が交付されている場合において、当該契約書の交付をもって書面の交付義務を果たしたことになる。
② 他の建築士事務所から設計等を再委託されるような業者間取引の場合においても、書面の交付が必要であることに留意する。
(9) 業務に必要な表示行為の状況(建築士法第20条関係)
・設計図書への記名押印がおこなわれているか。(昭和27年5月15日付け建設省住指発第44号(別添2)参照。なお、「一級建築士、二級建築士の別」とあるのは、「一級建築士、二級建築士、木造建築士の別」と読み替えること。)
・工事監理の結果を建築士法施行規則第17条の15(第4号の2の2書式)に規定する工事監理報告書により建築主に報告しているか。
・構造計算によって建築物の安全性を確かめた場合に、その旨の証明書を設計の委託者に交付されているか。
・建築設備士の意見を聞いたときに、その旨が設計図書及び工事監理報告書において、明らかにされているか。
※建築設備に係る業務委託の状況を把握し、保存された設計図書及び工事監理報告書との照合を行うこと。
(10)設計等の業務報告書の提出(建築士法第23条の6)
・毎事業年度における事業報告書について、提出時期において、所定の事項を記載のうえ提出されているか
(11)名義貸しの禁止(建築士法第24条の2)
・事務所の開設者において自己の名義貸しにより他人に事務所業務を営ませてはいないか。
(12)再委託の制限(建築士法第24条の3関係)【改正士法(H20.11.28施行)関係】
・建築士事務所の開設者が、委託を受けた設計又は工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外の者に委託していないか。
・建築士事務所の開設者が、委託を受けた階数が3以上、かつ、床面積1,000㎡以上の共同住宅の設計又は工事監理の業務を、それぞれ一括して他の建築士事務所の開設者に委託していないか。
(13)重要事項の説明等の状況(建築士法第24条の7関係)【改正士法(H20.11.28施行)関係】
・建築士事務所の開設者が、建築主と設計又は工事監理の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとするとき、あらかじめ管理建築士等をして、建築主に対し、建築士法第24条の7第1項及び建築士法施行規則第22条の2の2に規定する事項について記載した書面を交付して、説明をさせているか。
※他の建築士事務所から設計等を再委託されるような業者間取引の場合においては、重要事項の説明は必要ない。
・管理建築士等が説明をするとき、建築主に対し、建築士免許証等を提示しているか。
(14)その他の業務執行状況
・上記以外に建築士法第26条第1項又は第2項に規定する監督処分事由に該当する項目がないか。
(例)・二級建築士がその属する建築士事務所の業として建築士法第3条の規定に違反して設計を行ったとき。
・住宅金融支援機構の住宅改良資金貸付に係る調査判定業務において、虚偽の判定書を作成し交付する等開設者がその業務に関し不正な行為をしたとき
(15)工事監理体制の状況
・工事監理業務を適正に行うための文書等によるチェックシステムが確立されているか。(工事監理業務を実施するに当たって、工事監理計画書、工事監理日誌等を作成しているか等を中心に指導すること。)
※1 「工事監理計画書」とは、円滑かつ適正な工事監理業務を行うために、あらかじめ作成する作業予定表であり、工事監理の日程、重点箇所、実施方法等を記載したものである。様式は適宜でよい。
※2 「工事監理日誌」とは、工事が設計図書のとおり実施されていないときにおける工事施工者に対する注意、工事施工者が当該注意に従わないときにおける建築主に対する報告、工事施工者等の関係者との打合せ等の重要事項を日時を明らかにして記録にとどめるものである。様式は、適宜でよい。
(注意、報告、打合せ等の相手方からその時々に記録内容に異存がない旨の記名又は捺印をもらうようにしておけば、より望ましい。)
※3 「工事監理計画書」及び「工事監理日誌」は、ともに法令で作成が義務付けられているものではないが、工事監理の適正な執行及び責任の明確化に大いに資するものであり、建築士自身にとっても極めて有意義なものである。