御坊市新庁舎
御坊市新庁舎
【建物概要】
主要用途 市庁舎
規模 地上6階(PH階:ホバリングスペース)
建物種別 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)
延床面積 8083.25㎡
竣工 2023年10月
基本設計 株式会社山下設計 関西支社
設計施工 前田建設・久米設計特定建設工事共同企業体
電気工事 株式会社きんでん
CM業務 明豊ファシリティワークス
今回は御坊市新庁舎を紹介します。
御坊市は和歌山県中部に位置する紀中・日高地域での中枢都市であり、古くから日高別院を中心として寺内町が発展し交通の要所として発展してきました。
新庁舎は、「自然災害に対応できる頑強な庁舎」、「街を活性化するシンボルとなる庁舎」、「永く使い続けることのできる環境配慮型の庁舎」をコンセプトに計画されました。
旧庁舎からの建て替えで建設された新庁舎は、南海トラフ巨大地震発生時には3.5mの津波が到達すると想定されています。津波や水害などからの自然災害に備えるため、主要な庁舎機能は2階以上に配置し、1階と2階の間に免震層を設ける中間免震構造を採用され、災害時には避難者約600人を収容できるように整備されています。
1階エントランスは市民に親しまれるシンボルとなっている「みやこ姫ロビー」が来庁者を迎えます。当地で語り継がれる「宮古姫伝説」をモチーフとされており、髪・くしを表現した木製壁、天井には宮古姫の着物をイメージした布ルーバーが温かみのある空間を演出しています。
2階は市民の窓口スペースです。部署ごとに色分けされたサインがわかりやすく、来庁者を迷わせない配慮がうかがえます。
3階から4階は執務スペースです。市長室・会議室・関連諸室を集約し、災害時に緊密な連携が可能となっています。
5階には議場・議会関連諸室・展望ロビーが配置されています。議場の内装は日高別院のイチョウを模してあり、御坊市らしいデザインとなっています。
ガラス張りの展望ロビーからは周辺の景色が一望でき、災害時には一時避難場所としての利用を想定しています。
屋上には機械設備を配置し、緊急ヘリに対応できるようにホバリングスペースが設けられています。
災害時の自立運転を見据え、自然エネルギーの有効活用(太陽光発電・雨水の再利用等)を積極的に行う環境配慮型の新庁舎となっています。
御坊市新庁舎は、県内の公共建築物としては初めてのCM(コンストラクション・マネジメント)方式が導入されました。
御防市らしさが随所に施された新庁舎。市民のランドマーク、市民の憩いの場として活用されることを期待します。
【会報誌きのくにR7年3月号掲載】
情報・出版委員 竹本憲司