いなみこども園

いなみこども園

 

【建物概要】

■構造・規模 鉄骨造 平屋建て

■建築面積 1,825.32㎡

■延床面積 1,637.50㎡

■設計監理 株式会社 川建築事務所

■施工 株式会社 淺川組

 

今回は印南町にある『いなみこども園』を紹介します。阪和自動車道印南インターのすぐ近く、高速道路からは、大きな円弧を描く建物が目に飛び込んできます。白い屋根と緑の芝生とのコントラストが、非常に印象的です。敷地をできるだけ有効に利用するため、敷地の形状に沿って、円弧に建物が配置されています。建物外壁はほとんどが開口部で、園庭に向かって大きく開かれています。建物が円弧になっているため、建物内外どこからでも、園児たちの様子を見守ることができます。IMGP0069

アプローチは車・スクールバスでの園児の送迎に備えて、広々としたロータリーとなっています。建物と一体になった大きな庇により、雨の日でも、園児たちは濡れることなく、スムーズに登園できるようになっています。玄関に入ると、正面は開口部で、園庭まで見渡すことのできる明るい玄関ホールとなっています。円弧上の廊下と園庭の間は、連続するガラスの掃き出し窓となっています。見学当日は雨が降っていましたが、大きな軒があるため吹込みもなく、涼しい風が室内に流れ込んでいました。

天井の高さは、保育室・廊下共2.3mとなっています。「最初は低すぎるのではないかと心配したが、出来上がってみると子ども達にとってはいい高さで、開放感もすごくある」と理事長。天井まである連続した開口部と、内外の空間のつながりが、低めの天井の高さを、心地よい開放感のある高さへと変えているのだと感じました。

竣工時(全体正面)_MG_39950歳から5歳の240人定員の園舎は、間仕切りが無く、廊下と保育室は木製建具、保育室間は可動間仕切りが設置されています。保育の状況や季節の移り変わりで、フレキシブルに使用可能な空間となっています。見学時には、保育室間の間仕切も、廊下の木製建具も開け放たれていました。子ども達の元気な姿を、とても近くに感じることができました。

床は杉紀州材、家具などは桧紀州材で、全体的に温かみのある仕上げとなっています。自然な色合いの中に、ところどころに子どもの施設らしい、黄色やピンク、オレンジやグリーンの色調が配色され、楽しい空間となっています。

ランチルーム兼用の屋内遊戯場は、高い天井の空間となっていて、壁面には、先生や子ども達が作った大きな作品が掲示されていました。

竣工時(屋内遊戯場)_MG_4120建物を挟んで園庭の反対側には、土管のある小山や、砂場、ボルダリングの壁などがあります。建物東端の大きなウッドデッキのピロティでは、運動会の鼓笛隊の練習が行われていました。雨が降っていましたが、雨のかからない大きなピロティで、ダンスと元気な演奏が、外部にあふれ出していました。

建物全体を通して、園児と先生が、一緒に楽しいこども園をつくっていっていると感じました。開放感のある、伸びやかな園舎で過ごした子ども達の未来は、きっと明るく楽しい未来になるであろうと思いました。

【会報紙きのくにH28年10月号掲載】

情報・出版委員 佐原光治

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