わかやま歴史館
わかやま歴史館
建物概要
設計 ㈱ライトコーポレーション
施工 ㈱日紀建設
展示 ㈱トータルメディア開発研究所
工法 RC造
建築面積 609.88㎡
延床面積 2274.05㎡
開館 平成27年9月19日
先月号岡口門に引き続き、同じ和歌山城敷地内にある「わかやま歴史館」に取材に行ってきました。和歌山市役所南別館として使用されていた建物が耐震改修を兼ねてリニューアルされ、平成27年9月「わかやま歴史館」としてオープンしました。
各階の構成としては、地階は倉庫、1階は土産物センター及び観光案内所。2階はこの建物の核となる和歌山城展示コーナーと偉人・先人展示コーナー。3階には和歌山市の和歌山城整備企画課が入ります。今回は2階の展示コーナーをメインに案内していただきました。まずは和歌山城展示コーナーから。受付より少し進むとシアタールームが。CGで近世の和歌山城内郭が再現され、約12分の美しい映像が流れます。学術的考証に基づいたCGは、壮麗な和歌山城はもちろん、当時の景観をリアルに甦えらせます。展示室には六面体の3つのパーツからなる紀州徳川家伝来の金印、原寸で復元された10代藩主徳川治宝時代の茶室「実際庵」、城内部が詳細に描かれ建替えのたびに貼り替えられたという絵図「和歌山御城内惣御絵図」など、紀州徳川ゆかりの資料が多数展示されています。また和歌山城の年表が壁面全体で時系列に追えるため、非常に分かりやすい展示構成となっています。
偉人・先人展示コーナーでは和歌山市域出身の陸奥宗光、南方熊楠、川端龍子、松下幸之助、有吉佐和子の5名が取り上げられています。南方熊楠の思考を表すマインドマップのような資料、有吉佐和子の代表作「紀ノ川」の直筆原稿、「素直」と書かれた松下幸之助の書など、各人の人となりを表すような展示もあり、親しみの持てる内容です。1階の土産物センター・観光案内所は西の丸広場や駐車場からのアクセスも良く、旅行者にとっても利便性が高まりました。
改修工事を経て和歌山城の新しい顔となった「わかやま歴史館」。本物の城郭を近くに見ながら和歌山城について学べる贅沢。地元の私達も地域の由来に触れることのできる、意義深い建物再利用であると感じました。ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
【会報紙きのくにH28年6月号掲載】
情報・出版委員会 南方一晃