キーノ和歌山
キーノ和歌山
在所 和歌山市東蔵前丁3番3外
建築概要 商業棟/鉄骨造 地上3階・地下1階 延べ面積:約8,600㎡
新形態のマーケット(1階)、レストラン街(2階)、医療モール(3階)、屋上駐車場52台
ホテル棟/鉄骨造 地上12階 延べ面積:約6,000㎡
1~3階商業ゾーン(商業棟と一体)、4~12階カンデオホテルズ和歌山、
公益施設棟/鉄骨造 地上5階 延べ面積:約9,600㎡
市民図書館(収蔵能力60万冊、指定管理者:カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株))
自転車駐車場:約800台(2階・市営)
駐車場棟/自動車駐車場221台、原動機付き自転車駐車場262台(市営)、
(このほかに市街地再開発事業ではないが、統計局統計データ活用センターが入居する
オフィス棟がある。)
設計監理 株式会社 アール・アイ・エー大阪支社
施工 竹中工務店・南海辰村建設・淺川組共同企業体
~和歌山市のまちなか再生~
近年、和歌山市も地方都市の例にもれず、というより地方都市衰退の代表のような「まちなか」の状況である。実際、様々なところで、中心商店街であるぶらくり丁商店街がシャッター街として取り上げられた。しかし、最近、その様相が変わり始めているのである。
2007年度から2011年度まで中心市街地活性化基本計画による様々な事業を展開したものの、中心市街地の衰退を止めるには至らず、その中で倒産した百貨店ビルの再生事業と市街地再開発事業がわずかながらも効果があったことから、中心市街地基本計画は延長せず、この2つの事業をさらに展開していくこととした。
空き家・空きビル活用として、2013年度から現在まで8回にわたりリノベーションスクールを開催、受講生は200人を超え、まちづくり会社も6社設立されている。リノベーションスクールでの提案から8件が事業化され、また同スクール受講生により12件が事業化されている。まちなかのコンテンツが少しずつ充実してきている。さらに同スクールが契機となり、受講生を中心に商店街・道路・河川を活用したイベントが開催されている。
市街地再開発事業としては、現在3事業が同時に進行している。和歌山市駅前地区1.9haは南海和歌山市駅に図書館、商業、業務、ホテルなどを、友田町四丁目地区0.4haはJR和歌山駅近くで内科病院、商業、住宅などを、北汀丁地区0.3haは和歌山城近くで専門学校、福祉施設、住宅などを、それぞれ整備するもので、2020年に相次いで竣工することとなっている。それぞれは和歌山市の拠点であるJR和歌山駅、南海和歌山市駅、和歌山城に位置している。和歌山市の規模で市街地再開発事業が3つも同時に進行としているというのは誇ってもいいのではないかと思っている。
また、中心市街地において2017年に、3つの小学校と1つの中学校を統合して1つの小中一貫の義務教育学校を新設したところである。これらの統合により廃校となった3ヶ所にそれぞれ大学を誘致することに成功している。2018年に開校した東京医療保健大学360人、2019年開校の和歌山信愛大学320人、2021年開校の和歌山県立医科大学薬学部600人がそれぞれ廃校跡地に立地する。
こういう状況の中、和歌山市の「まちなか再生」のランドマークとなるべく、南海和歌山市駅前再開発「キーノ和歌山」が6月にオープンしたのである。
この事業着手前、南海和歌山市駅は高島屋が撤退しただけでなく、駅としてもその機能は非常に低下していた。自転車駐車場は隣接してあるものの機械式で利用しにくく、原動機付自転車駐車場は機械式でなおかつ駅から遠く離れ、送迎の自家用車はどこに停車すればよいのかも明確でなく、さらに駅利用時に飲食・休憩するまともな店舗がなく、決して使いよい鉄道駅ではなかった。高島屋撤退前であったが、南海電鉄から市駅建て替えの打診があった。南海電鉄の計画しようとしている駅は非常にコンパクトなもので到底、まちなか再生に貢献できるものではなかった。そこで、和歌山市は自転車駐車場が敷地を含め市有であったことを手掛かりに市街再開発事業を計画することとなったのである。ちょうど市民図書館が老朽化していたこともあり、駅に立地させ、ホテルの誘致にも成功し、自転車駐車場及び原動機付自転車駐車場を自走式で駅に組み込むことができた。まだ駅前広場は完成していないが、送迎自家用車も停車しやすくなる予定である。これで駅の利便性は飛躍的の向上することとなる。さらに、和歌山にこだわったマーケットやレストラン、市民図書館ができたことで、やっと和歌山市の玄関駅らしくなったと言えるのではないでしょうか。
キーノ和歌山の概要
商業棟 鉄骨造 地上3階・地下1階 延べ面積:約8,600m2
新形態のマーケット(1階)、レストラン街(2階)、医療モール(3階)、屋上駐車場52台
ホテル棟 鉄骨造 地上12階 延べ面積:約6,000m2
1~3階商業ゾーン(商業棟と一体)、4~12階カンデオホテルズ和歌山、
公益施設棟 鉄骨造 地上5階 延べ面積:約9,600m2
市民図書館(収蔵能力60万冊、指定管理者:カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株))
自転車駐車場:約800台(2階)
駐車場棟 自動車駐車場221台、原動機付き自転車駐車場262台(市営)、
(このほかに市街地再開発事業ではないが、統計局統計データ活用センターが入居するオフィス棟がある。)
【会報誌きのくにR2年8月号掲載】
情報・出版委員(元和歌山市都市再生専門監)中西達彦