和歌の浦アートキューブ
和歌の浦アートキューブ
■設計監理 有限会社A.A.E 下吹越武人
■構造 RC造一部S造 地上2階建
■敷地面積 3210.83㎡ ■建築面積 1064.18㎡ ■延床面積 1528.87㎡
■2003年開館
建物は国定指定名勝である和歌の浦の美しい景観に溶け込む形で2003年に開館しました。
『和歌の浦アート・キューブ』は私たち市民のアートを創る力、その未知の可能性を発見し育成するためのアートセンターとして誕生し市民の芸術文化活動の育成と支援を事業目的としており、誰もがアートと関われる自由な空間で市民、専門家、行政が協働して新たな地域の文化資源を発見・創造する新しい交流拠点です。
建物は2004年度グッドデザイン賞(建築・環境デザイン部門)、第2回和歌山市優良建築物賞を受賞しています。
『和歌の浦アート・キューブ』は多目的ホール、アトリエ、スタジオ、カフェ等10個のキューブで構成されており、多目的ホールの周りをL字に路地を取って、その他の棟を大屋根で繋いでおり、内部と外部の関係をうまく使って利用者が路地を歩くような情緒があふれる空間となっています。
外壁に使用されている素地銅版一文字葺は築13年ほど経って、銅板に良い風合いが出て、周りの環境に馴染む建物として年々変化しているように感じました。
施設担当者の方に、多目的ホールの舞台裏、控室等の場所を案内して頂けました。白を基調にした控室におかれている椅子はさすがアートを生み出す空間に相応しいヴィコ・マジストレッティのマウイチェアでした。
そして、天井高さが約10mある多目的ホールの屋上部分に外部ハシゴを使って登らせてもらえました。地上からは見えませんが屋上部分は軽量土により緑化されており、夏の日射による断熱に対する工夫が施されていました。
普段は見ることができない屋上から見る和歌の浦の景色は本当に綺麗でした。
このような風光明媚な場所で市民が芸術活動をし、アートに触れ、市民同士が交流できる素晴らしい空間があることは私たちの誇りではないでしょうか。
【会報誌きのくにH27年5月号掲載】
情報・出版委員会 岩西智宏