和歌山市民図書館
和歌山市民図書館
■設計監理 岡田新一設計事務所
第16回SDA賞/ 新建築8204, 建築画報8002, 建築画報8010
■構造 鉄骨鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造 地上4階、地下1階
■敷地面積 4929.86㎡ ■建築面積 1787.87㎡ ■延床面積 7288.90㎡
■1981年7月(S56年)開館
紀ノ川に近い川辺に建つ和歌山市民図書館は不定形に折られた断面をもつ金属屋根を有し、和歌山城の天守閣から認識することができることをねらいとして設計されています。
設計者は最高裁判所庁舎の設計者で有名な岡田新一氏です。
閉架式の貸し出し中心の図書館が主流であった時代に、『市全域サービスの充実・児童へのサービス充実・開架式を主とし閲覧ができる図書館』の3つのテーマを軸に市民に対して開かれた新しい図書館として機能的側面を十分に考慮してつくられました。
内部空間は大きな吹抜けを設け、上部には天窓が配置され、空間全体にやさしい光が差し込んでいます。2F・3Fの階段ホールには〝くすの木(市の木)″を模した美しいステンドグラスが設置されています。
1階には一般開架、児童書架、CDコーナー等があり、所蔵されているレコードなども聞くことができます。2階には参考資料、郷土資料等と和歌山市出身の有吉佐和子氏のコーナーがあり、有吉佐和子氏が所蔵した本も見ることができます。
3階には全国的にも珍しい海外移住者(出移民)に関する資料(約9,000点)を収集・保存・公開している『移民資料室』が設置されています。
和歌山県では明治時代から海外への移住者が多かったことから、市民図書館の開館から3年後の1984年(昭和59年)12月に、郷土を離れた海外移住者たちの記録を集め後世に伝えることを目的として、この移民資料室が開館しました。和歌山市出身の画家であるヘンリー杉本氏が戦時中アメリカでの収容所生活を描いた絵画が展示されており、移民資料室には毎年多くの専門家が国内外から情報収集に訪れています。
そんな多くの市民
ら愛されている『和歌山市民図書館』は開館35年を過ぎ、平成か
『和歌山市民図書館は多くの市民の方が親しみやすい図書館として認知を上げたい。これからも市民の方が利用しやすく、長く愛される図書館を目指したい』とお話しを頂きました。31年に南海和歌山市駅と連結するカタチで新しく生まれ変わろうとしています。
図書を読む・借りるだけではなく、映画上映会、親と子折り紙教室、幼児おはなし会やえいご絵本読みきかせなど楽しいイベントが豊富な『和歌山市民図書館』へ足をはこんでみてはいかがでしょう。
【会報紙きのくにH28年8月号掲載】
情報・出版委員 岩西智宏