地域交流センター 駅の道くしがきの里
地域交流センター 道の駅くしがきの里
【建物概要】
■設計監理 株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ
■延床面積 995㎡(4棟)
■構 造 木造平屋建て
■施 工 建築工事 株式会社 松村組
設備工事 中谷電気工事株式会社
■工 期 平成27年11月~平成28年8月
今回は京奈和自動車道かつらぎ西ICより車で北に5分程の国道480号線沿いにある「くしがきの里」を紹介します。
くしがきの里は、和歌山県北部のかつらぎ町と大阪府南部の泉大津市を接続する国道480号線の道路改良工事に合わせて建築した道の駅です。本格的なオープンは道路開通に合わせ平成29年3月を予定しています。現在施設内の物産販売施設棟のみ土日祝日の運営となっています。設計者に建物のコンセプトを伺いました。
○敷地を分節する建築と連続する回廊
細長い敷地に合わせシンプルな建物が並び、それを回廊がつなぎます。回廊は雨に濡れずに移動できる機能的な役割だけではなく、建物が分節した敷地に連続感を与えます。その風景は農村のようであり、宿場町のようでもあるけれど、ここにしかない景観です。それは「ありそうで、どこにもない」ここだけの風景です。
○木造を耐候性の高いスキンでカバー
建築は木構造で計画し、木の空間を耐候性の高い金属パネルでカバーする、木の質感と耐候性の両立する建築を目指しました。
○魅力的な木造の表現
構造材として約120m3の桧材を使用し、そのうち約3割はかつらぎ町産を使用しています。物産販売施設棟・レストラン棟は、フレキシブルな施設とするため、大スパンの無柱空間とし、架構は集成材を用いず、無垢の流通規格材(柱材:12㎝×12㎝ 梁材:12cm×24cm)を組みあげてつくりました。木の質感を生かしつつ合理的で新しい木組みのイメージを伝えます。
○構造計画
大スパンの無柱空間を実現するために、トラス形式のラーメン構造とし、短手方向は壁量計算ではなく許容応力計算による検討を行いました。
今後公共建築は法的な整備もあり、地元に流通する材でどこまで設計できるかが設計者に求められる技術となることは間違いありません。
道路完成後、くしがきの里が北の和歌山への入口のひとつとして末長く魅力的な施設となることを願います。
会報紙きのくにH29年 2月号掲載】
撮影 スタジオゼロ 堀田賢治
取材 情報・出版委員 森下若生