日本放送協会(NHK) 和歌山放送会館

日本放送協会(NHK) 和歌山放送会館

建物概要

設計監理 西村建築設計事務所

施工    ㈱松村組

工法    RC造

敷地面積  1973.14㎡

建築面積   957.63㎡

延床面積   2376.08㎡

竣工    昭和44年

 

文中2今回はNHK和歌山放送局へ取材に行ってきました。町のシンボルとも言えるようなそびえ建つ電波塔、放送局ならではの特別な設備を思わせる配管、重厚な濃色のタイルによる特徴的な外観を見ながらエントランスをくぐり抜けます。内部のロビーは誰でも自由に入ることができます。「NHKハートプラザ」と名付けられたこのスペースには過去に放送された番組を鑑賞できるブースがあり、NHKファンなら思わず長居してしまいそうです。みかんをモチーフにしたキャラクター「わかまる」と大河ドラマ「真田丸」のコラボレーションキャラ「真田わか丸」が描かれたのぼりが展示され、ホワイトボードには和歌山弁講座が書かれているなど、和歌山県民にとって親しみの持てる空間になっています。

文中1副局長のご案内でスタジオも見学させていただきました。平日18:30からの放送「あすのWA」で見たことのあるスタジオ。テレビで見るのとは違って、カメラ、照明、各機材を繋ぐコード類とリアルな現場の雰囲気です。アナウンサー席の机上にはチェック用のモニターやスイッチ類など普段目にしない部分も見せて頂きました。屋上は太陽光パネルが設置され、電波塔が建ちます。NHK和歌山の放送電波はこちらから発信されます。建物の南側に見えた径の太い配管は、地下の自家発電装置の排気用です。また津波の浸水被害を想定し、屋上にも自家発電装置を設置。1週間は外部から送電が無くても放送できるそうですが、今後はどのような災害時においても放送できるよう更に体制を整えていきたいとの事。副局長の話文中4の随所に公共放送としての責務と気概を感じます。

写真にはありませんが、専門機材の並ぶ副調整室やラジオスタジオも見せていただきました。その他地震発生15秒前から映像が見ることができるシステムがある、館内の時計は全て秒単位で合わされている、放送1分前にラジオスタジオが無人だと警報が鳴る、中継車は大地震や津波があるとすぐに避難して必ず電波を飛ばせる状態にする、等々興味深いお話も伺いました。

文中3NHK和歌山の歴史を少し追ってみます。NHK和歌山放送局は1936年(昭和11年)和歌山市三木町に大阪中央放送局和歌山出張所として開設された後、和歌山城敷地内に移転。その後1969年(昭和44年)現在の地に移転し本建物が竣工します。また取材の中で和歌山城敷地内に建てられた建物が前川國男氏の設計であったという事が分かりました。モダニズム建築の雄、前川國男氏の建築が和歌山に存在していたというのも非常な驚きです。貴重な資料を頂きましたので掲載いたします。

この十数年でインターネットは劇的に普及しましたが、老若男女が等しく享受できるメディアといえばやはりテレビ・ラジオです。NHK和歌山放送局は今年開局80周年。防災意識高まる和歌山県においても今後ますます頼りになる存在です。最後になりましたがお忙しい中快くご対応頂きました副局長の仲山様、誠に有り難うございました。

【会報紙きのくにH28年3月号掲載】

 

 

                         情報・出版委員会 南方一晃

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