有田川鉄道公園

有田川鉄道公園

 

●所在 和歌山県有田郡有田川町徳田124番地1

●建築概要 鉄道交流館:木造 地上1階 建築面積207.38㎡ 延べ床面積198.08㎡

●工期  平成21年7月25日~平成22年3月10日

●設計・監理  オオサカ設計事務所

●施工     建築工事:浅井組

 

 今回は有田川町にある「有田川鉄道公園」を紹介します。この公園は、今では運行が廃止となった有田鉄道の金屋口駅と操車場や荷物の積み下ろし場等の関連用地を活用して造られました。公園入口には、「D51 1085」蒸気機関車が展示されています。その他にも「キハ58003」、「ハイモ180-101」という実際に有田鉄道で活躍していた車輌等が動態保存されています。奥に進むと「有田川町鉄道交流館」があります。ここには、有田川町をイメージしたジオラマが展示されており、鉄道模型が走っています。また、自分で持ち込んだ鉄道模型もこのジオラマの中を走らせることが出来ます。ちなみに、鉄道模型には、大きく分けてNゲージとHOゲージがあります。両者の違いは大きさ(縮尺)の違いです。Nゲージは本物の車輌の1/150の大きさで線路幅は9mm、HOゲージは1/80の大きさで線路幅は16.5mmになっています。
 次に、旧金屋口駅舎と約400mの線路が共に残されており、先ほど紹介した動態保存されている車輌が定期的に運行しており体験乗車をすることができます。また、以前旧金屋口駅舎では、映画「ALWAYS3丁目の夕日‘64」のロケが行われたそうです。これらの、車輌及び線路の修繕や維持管理は、鉄道に関係する人を中心に構成された「有田川町鉄道保存会」の方々が行っています。他にも、有田川鉄道公園からJR藤並駅までの5.2kmの路線の跡地は歩行者・自転車専用道路(ポッポみち)に整備されています。取材した日は、良く晴れた穏やかな日でした。何組かの親子連れが訪れていました。

 有田鉄道は、大正2年2月に設立されました。当初、金屋口駅から途中の藤並駅をはさんで湯浅港にある海岸駅まで木材や有田みかんなどの農林産物を輸送していました。当時は、金屋口駅周辺もかなり賑わっていたようです。
しかし、トラックの普及による輸送手段の変化に伴い、藤並駅から海岸駅までの運行は廃止になりました。その後は、藤並駅までの通勤・通学者を主とした旅客運送を行っていましたが、乗客数が減少し、平成14年12月末をもって全線廃線となりました。

 このように、かつては大活躍していた鉄道も、時代の流れと共にその必要性も変化し、廃線になるケースが多くあります。仕方がないといえばそれまでですが、とても寂しい気がします。
ここは、そのようなかつての鉄道施設に新たな役目を与え、上手く再利用出来ている鉄道公園です。次回は、子供を連れて来てみたいと思いました。サイクリングで有田川の町並みを巡り、この鉄道公園で昭和の雰囲気を思い返す、のんびりとした一日を過ごしたいです。

【会報誌きのくにR4年5月号掲載】

情報・出版委員 大江 猛史

 

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