田辺市竜神行政局

田辺市竜神行政局

田辺市龍神村西376番地

RC造4階建 4473.82㎡

    地階  991.35㎡

    1階 1304.86㎡

    2階 1229.55㎡

    3階  850.86㎡

    PH階  97.20㎡

工期 着工 平成4年3月 5日

   完成 平成5年7月31日

設計監理 株式会社 岡本設計事務所

施工   村本建設株式会社

 

今回は田辺市龍神行政局(旧龍神村役場)を紹介したいと思います。

紀伊水道にそそぐ日高川の上流、和歌山県の中央部にある龍神村は古くから林業が盛んで林野率が95%と高くそのうち約70%が人工林だそうです。戦後に植林された杉、桧も利用時期を迎え、豊富な森林資源に支えられた林業地域です。材木市場や木材加工場、家具工房などがあり木材産業が盛んです。また、観光では1300年前に弘法大師により開かれたという日本三美人の湯、龍神温泉が有名です。夏場は鮎釣りやキャンプ客で賑わいを見せます。近年では有田や田辺、本宮方面からの道路が整備されたことでとても便利になりました。

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 その龍神村のシンボルとして平成5年、この役場庁舎が建設されました。有田ICからだと国道424号を東進し425号を龍神温泉、護摩壇山方面に向かい371号の合流点を過ぎると右手に現れるガラス張りの綺麗な、まるでリゾートホテルかのような佇まいです。そこで龍神村役場の看板を発見して「ええぇ~役場?」と、初めて見る者を驚かせます。かつて私も長く覆われていた仮設足場シートが外された時の衝撃を忘れません。「こんな山奥(失礼)に・・・凄い」目立ちます。前面道路から正面玄関を臨むと左手に当時日本一の大きさだと言われる龍の石像が鎮座し、来庁者を迎え、庁舎を見上げ、守っているようにも見える。その先には中央がアーチ型にせり出したガラス張りカーテンウォール、左右にガラス張り階段室、両サイドに1段低い石垣積風外壁でシンメトリー(左右対称)な外観、まるで「竜宮城」そう、この建物は龍神村民の夢の城、竜宮城なのです。

 玄関ホールに入ると正面に樹齢約150年の龍神杉の大木が現れ、吹き抜け空間を貫くように、力強く村を支えているかのように設置されている。周りには木彫り像や木工作品、ベンチなどが展示され、木の村をアピールしている。内装やサッシ化粧材にも木材が多く使われ、当時最新の難燃処理加工が施されたりして、木材の利用促進、可能性を求めた仕様としている。外部や内部の腕木、石張りの意匠も抜かり無く実に凝っていて、デザインや型枠の苦労が伺えます。裏手、川側向かいからの意匠にも抜かりが無いのは言うまでもないです。

そんな龍神村役場ですが、平成17年に田辺市と合併し田辺市龍神行政局となりました。

現在、村民ホールより右手側が行政局、左手側には観光協会や案内所、商工会に利用され、消防車車庫等が増改築され田辺消防署の龍神分署として活用されています。

 

 最近私は冬場に龍神村に行くことが多かったのですが今の季節、初夏の龍神は新緑が映え、川がキラキラと輝き、とても気持ちの良い季節です。今回のコロナ禍では観光、飲食業に多大な影響が出て深刻な状況となっています。ぼちぼち、コロナも落ち着き始めたので三密を避け、のんびり紫陽花見がてら龍神そばを味わいにドライブなんていかがでしょう。これを読まれる頃は梅雨ど真ん中でしょうか。

【会報誌きのくにR2年7月号掲載】

情報・出版委員 永田佳久

 

 

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