日本基督教団・紀南教会

日本基督教団・紀南教会

 

kinanchapel 日本基督教団紀南教会は、大正14年(1925)にプロテスタントの教会として建築されました。この建築物は平成18年8月3日に文化庁の登録有形文化財、第30-0100号に登録されています。那智勝浦町下里のハマボウが群生する小さな川のたもとに位置し、隔週の日曜日には集会が開かれ地元の方に長く愛されて続けています。昭和30年代後半から約30年間広田牧師のもと幼児園としても使用されていましたが、現在は昔の写真をもとに当時の姿に少しずつ戻して行く予定だそうです。

 構造は木造2階建で、間口6.4m奥行11.7mの単廊式教会堂。平面的な形は十字架になっており空から見下ろすとそれがわかります。外観は落ち着いた配色で仕上げられていて、カトリックに見られる荘厳な装飾もなくとてもシンプル。周囲の風景に自然に溶け込んでいます。特徴的な所はファサード。アーチ型のポーチ部分が一段高く造られているのと、急勾配の屋根です。この屋根は昭和60年頃にコロニアルIMGP7061から銅板に葺き替えられています。内部は野地板をみせた天井と壁は漆喰塗り、床は板張りで構成されていて、講壇部分にはアルコーブ、そしてケヤキで造られた祭壇が設けられています。天井を見上げると球状のかわいらしい照明と、独創的なトラスの小屋組みが印象的でした。倉庫として使われている地下にも特別に入らせていただき、床組みを見ることが出来たのですが、耐震的に状態はあまり良くなく、何らかの補強するほうが今後もっと長くこの建物を使って行く上で重要だと思いました。

 取材を終え、参列席にしばらく座ってみると何かやさしい雰囲気に包まれる気がしました。建物の持つものなのかよく分からないですが、長く愛される理由のひとつだと感じました。これからも価値の有る建物を末永く守っていってほしいです。

 所在地 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下里930−1

 

 中谷 隆志

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